悪の教典/貴志祐介

悪の教典 上 (文春文庫)

悪の教典 上 (文春文庫)

悪の教典 下 (文春文庫)

悪の教典 下 (文春文庫)

これはすごい。貴志祐介最凶の小説。


新世界より』では、あの緻密に造り込まれた世界観に「こんなすごい話を書けるなんて、貴志祐介はおかしい!」と感嘆したものだけど、今回は「こんなグロい話を書いて、貴志祐介は頭おかしい(not褒め言葉)」な感じでドン引きしてしまった。読後感含め、相当気分悪い。
『青の炎』であれだけ苦悩して、『新世界より』でもあれだけ苦労して人間を殺すことを描写したのに、この作品ではカリスマ教師(の皮を被った殺人鬼)の主人公が、特にたいした理由もなく(単純に自分の人生に邪魔になったから、という程度の理由)、なんの躊躇もなく自分の生徒を殺しまくる。『バトル・ロワイヤル』も裸足で逃げ出すような殺しっぷり。すげぇ。頭おかしい。でも、それだけ。これまでの作品と比べると物語の深みは格段に少ないのが残念。


過去作品に名作が多すぎるから期待して買うとちょっと肩透かしです。
それでもストーリー後半の、先の読めない展開は一気読みしてしまうには充分な面白さ。
万人には絶対にオススメできる内容ではないけど、なかなか楽しめました。


あと、これを映像化するっていう発想もすごい。え…こんなのどうやるの?といった感じ。
でも監督は三池崇史。『ヤッターマン』の人か……うーん、期待できるのか?