ビブリア古書堂の事件手帖/三上延

本屋大賞ノミネート作品。
それほど期待してなかったのだけど、作品の性質上電子書籍化はされないかもしれないと思って紙媒体で購入。


古書の内容そのものではなく、持ち主にまつわる「物語」を美人古書堂店主が読み解くという大筋。いわゆる「安楽椅子探偵」モノの連作短編。古書堂店主のミステリというと『京極堂シリーズ』を連想しなくもないけど、似ても似つかないです。
テーマがテーマだけに、あまり派手なトリックやら事件はない代わりに、「ちょっと良い話」な感じの展開が多いです。


それなりに面白いし、物語を通して仕込まれているトリックとか全体的によく出来ているとは思うものの、本屋大賞と騒がれるほどの内容かは微妙…。特に主人公がエピローグになっても本の価値を金銭で勘定しているあたり「お前はこれまで何を感じてきたんだ」ってツッコミを入れたくなってしまった。


個人的な趣味で言えば、舞台が鎌倉とか藤沢とか実家に近いロケーションなのが素晴らしい。
割と「湘南あるある」的なネタが仕込まれてると地元民としては思わずニヤリとしてしまうのです。


「本は人の手を渡るうちに物語を生む」というテーマがあるから、前述のとおりきっと電子書籍にはならないだろうな、と思うので続刊の扱いに悩み中。「名作」にはなれないものの、とりあえず面白いので買うとは思います。