新世界より/貴志祐介

新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)

ずっと前から気になっていたものの、ボリュームがあったので敬遠していたのを、やっと気が向いたから読んでみたのです。


これはすごい!超面白かった!これまで読んだ小説の中でも屈指の面白さ。
いままで読んでいなかったのを後悔。


「呪力」と呼ばれる超能力が当たり前に使える日本を舞台に物語がスタートして、牧歌的な感じでゆるやかに世界観の説明とかがされているのだけど、200ページくらい読み進めたあたりで「えっ!?」と思うような衝撃の展開があって、そこまで読むともう止まらない。
貴志祐介独特のグロ系な表現とスリリングな展開にぐんぐん引き込まれて、一気に最後まで読んでしまいます。『クリムゾンの迷宮』とかで、割とあっさり登場人物が死んだりしたのもあって、次の瞬間には何が起こってもおかしくない、という緊張感がちゃんと描かれてるのがたまらない。特に後半の展開が凄くて、手に汗握る!


あと、世界観がすごく綿密に作られてる。物語が後半に向かうにつれて、だんだん世界の秘密が解かれていくのだけど、そのどれもが「あのシーンもその伏線だったのか!」と思えるような納得感。
特に「愧死機構」と「攻撃抑制」はすごく良く出来ている。世界観を成立させるために、よくこんな発想ができるな、と感心したものです。このシステムを使った、5,6章のトリックと最終決戦は秀逸過ぎる(ネタバレのため反転)。


ページ数は多いけど、それがまったく気にならない面白さ。
貴志ファンだけに限らず、是非オススメの一作です。


しかし、これアニメで放映って本当にできるのかな…。いろいろな部分でNG描写がたくさんありそうだから、そのあたりを考慮して作ると全然別の物語になってしまいそうなのだけど。