ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

伊坂幸太郎の集大成!と言われてる作品がちょっと前に文庫落ちしたから期待して購入。
が、残念ながら、似たような系列の作品である『ラッシュライフ』が肌に合わなかった僕にとってはイマイチだったのです。なぜ世間的に評価されているのか理解できない…。


伊坂幸太郎お得意の伏線張りまくりの展開も、スリリングな場面で使われてしまうとご都合主義が過ぎるように見えてしまうし、淡々とした文章と首相暗殺という過激なテーマもミスマッチでした。
で、そんなイマイチな感覚の中で、最後まで読ませるモチベーションである途中までの「この状況をどうやってひっくり返すのだろうか」という期待も見事に裏切られてしまうようなラストの展開。もうね、風呂敷を広げるだけ広げておいて殆ど畳まないまま終わりにするとかやめてほしい。何も解決してないし!
それとも、この理不尽な展開こそが伊坂幸太郎がこの作品を通じて何か伝えたいメッセージだったのだろうか、とか邪推してしまう。


エピローグは上手くまとまっていて、最後の数ページはとても好きだけど、それまでがあまりに微妙。
『砂漠』や『重力ピエロ』や『週末のフール』みたいに「絆」をテーマにしているのに、この作品だけどうしてこうなった、という気持ちでいっぱいです。