フライ,ダディ,フライ/金城一紀

フライ,ダディ,フライ (角川文庫)

フライ,ダディ,フライ (角川文庫)

会社の人から「気軽に読めるよ」とオススメされて借りました。
名作とは言えないながらも、なかなか面白かった!


主人公は普通の中年サラリーマン。いたって平凡で順風満帆な人生の中で、娘が暴行されるという事件が起きて、犯人に復讐するために立ち上がるのである!
と書くと陳腐な感じなのだけど、主人公のおっさんが強くなるために感じる心の葛藤や、その中で知り合う人達と絆を築いていく描写がとても素晴らしい。


まあ、トレーニングの過程なんかは若干トンデモ系な感じだったり、悪役の悪役描写がステレオタイプすぎてご都合主義的な感じはするのだけど、そこはご愛嬌かな、と我慢できるレベル。そんなことよりも、主人公や周りの人達のアツさが僕好みでした。主人公はダサくて格好悪くて情けない面があるものの、それでもアツい心を持っていて、だからこそ感情移入しやすい人間味があって良い感じでした。


一人称でスピード感のある文章なので気軽に一気読みできて、読み終えたときには清々しい気分になれる一冊です。