イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊

イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)

イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)

イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)

イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)

田口・白鳥シリーズ第4弾。舞台は桜宮市から霞ヶ関厚労省へ。フィクションから現実路線へ。


うーむ、確かに面白かったのだけど、これはもう前作までとは完全に別モノになってしまった感じがする。
前作までの医療ミステリから、司法VS医療の会議内での論争ばかりの内容。現代医療の問題をわかりやすく面白く書いていて読みごたえはあります。が、おいらがこのシリーズに期待しているのはこういう内容ではないのだよ……!


今回初登場で今後もキーパーソンになりそうな彦根
速水と同じ、現場レベルでルールに立ち向かう姿勢は同じなのに、速水と比べると全然共感できないのが残念です。


官僚の人たちの人物描写が凄い。官僚の人がこの作品を読んだらどう思うのだろう。
いくらフィクションとはいえ、あそこまで酷い書き方されたら内心穏やかではないだろうなぁ。


終わりの見えない方向性に向かってしまったこのシリーズよりも、物語性を重視して語られそうな『ブラックペアン』の続編の方が期待できそう。


あと、割とどうでも良い話。
作中に出てくる会議の名前が長すぎて笑ったのだけど、これを読み終わった週にニュースで読んだ「死因究明制度のあり方に関する研究会」の会名も長くて、海堂先生は皮肉が上手いと思った。