ブラックペアン1988/海堂尊

ブラックペアン1988(上) (講談社文庫)

ブラックペアン1988(上) (講談社文庫)

ブラックペアン1988(下) (講談社文庫)

ブラックペアン1988(下) (講談社文庫)

またも桜宮サーガ。今度の舞台は20年前の東城大学病院。
若かりし日の高階先生とそのネーベン(研修医)の世良先生が主人公。


これは面白かった!「神の手」佐伯外科医が手術時に用意しているブラックペアンにかかわるミステリーと、医者がどうあるべきかという高階&世良先生の葛藤と、他シリーズに登場する未来の先生達の学生時代の話が良い感じにミックスされています。
手術シーンの緊張感が素晴らしい。『バチスタ』の手術シーンなんかも緊張感はあったのだけど、今回も「手術の失敗=死」な緊迫が伝わってきて非常に良かったです。ブラックジャック的な素晴らしい手技っていうのもうまく描かれているし、とても楽しめました。人によるかもしれないけど、僕は『バチスタ』よりもこっちの方が好きです。


世良先生格好良いなぁ。技術は拙いものの、それを努力で埋めようとしたり患者思いだったり、凄く良い先生。
そんな世良先生は『田口&白鳥』シリーズには登場しないのでその後どうなってしまったのだろうとか、花房さんとどうなったのだろうとか、その後の空白の期間がとても気になる終わり方なのでした。
どうやら続きを連載中らしいので、そちらもとても楽しみ。


ところで、『螺鈿迷宮』のときも思ったのだけど、このボリュームで上下巻分冊はとてもぼったくり感が高いです。
だいたい、新書版は1冊なのに文庫で分冊する意味が全然分からない。