魔王 (講談社文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/09/12メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 125回この商品を含むブログ (403件) を見る

久しぶりに伊坂幸太郎。待っていた文庫落ち
TBSのドラマでこのタイトルを見た瞬間に「おおっ!」って思ったのに、全然違う内容でガッカリした人も多いはず。


うーん、感想を書くのが難しい作品。
これまでの伊坂幸太郎作品の「面白かった!」な面白さとはちょっと異色の面白さ。


ある日偶然気付いた、他人に自分の思っていることを喋らせることのできる『腹話術』の能力を、どうやって世の中の役にたてるか考えて世間と戦う若者、安藤の話。って書いてしまうと、この物語の良さがすべて吹っ飛んでペラペラな印象になってしまうなぁ。
独特の語り口調は健在だし、割と淡々と物語が進むのは他の作品もそうなのだけど、他の作品にある「花」が無い気はする。つまらなかったかと言うとそうでもなくて、むしろ後からじわじわと効いてくる感じの面白さ。
同時収録の続編『呼吸』も含め、通しで読んで感じるところがあるのだけど、それを表現することができないのがもどかしい。


ストーリーの結末ではあまり語られなかった部分や、含みを持たせた部分(たとえば安藤と犬養は実は同じ思想だったのではないか、と思わせる部分が「私を信じるな!」から読み取れなくもない?(ネタバレにつき反転))は、近々発売する同じ世界の50年後を書いた『モダンタイムス』で語られるのかしらん?


あと、他に書く機会があんまりないだろうから書いておこう。
この作品を原作にしてるマンガが少年サンデーでやっていてコミックスも出ているのだけど、
魔王 1―JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)
↑この表紙を見る度に「クサッ」ってセリフを書き足したくなるんだ。