ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)作者: 海堂尊出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2008/09/03メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 28回この商品を含むブログ (188件) を見るナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)作者: 海堂尊出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2008/09/03メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 19回この商品を含むブログ (166件) を見る

チーム・バチスタの栄光』で一世を風靡した田口・白鳥コンビシリーズの第二段が文庫落ち
今回も面白かった!


主人公・田口先生の勤める東城大学付属病院に緊急入院した往年の歌姫・冴子さんと、病棟のナイチンゲール(小夜啼鳥の方)こと浜田看護師の出会いと、その裏で起きる事件と、成長がメインテーマ。
両者サイドでそれぞれドラマがあって、物語の着地点が終盤まで見えなくて、目が離せなくて一気に読んでしまいました。で、読み終えてみると、物語のラストに事件の存在は絶対不可欠な必然性があって、やっぱりこの作者はストーリー展開の組み立てが上手いなぁ。と思ったワケなのです。


ということで、ドラマ性としては前作を超える内容なのだけど、その分白鳥の活躍はイマイチ多くなかったりして、前作のような豪快な展開を期待して読むとやや肩透かしかも。アクティヴ・フェーズの時間なんかも殆どないし。
あと、前作もややその傾向はあったのだけど、ミステリとしてはかなりトンデモ系。冴子さんが『ネウロ』のアヤ・エイジアみたいな特殊能力を持っていたりする*1時点で酷かったりするし、DMAなんかは海堂先生の妄想が多分に入っている気がする。まあ、能力を事件に絡めるような反則はさすがになかったけど。そのトンデモな設定故に瑞人君(浜田看護師の受け持ちの患者)が言ったセリフ「でたらめ歌うな、小夜さん!」(ネタバレにつき反転)が迷言過ぎました。シリアスなシーンなのに笑ってしまった。普通の生活してたらそんな言葉絶対に言わないよ。


あとあと、エピローグがこのシリーズにしてはポエミィ過ぎてちょっと辛かった。
「冴子さんは芸術派なんだから別にいいじゃん」って嫁さんが言ってたけど、納得できねぇー。

*1:というか、アヤ・エイジアがこっちをパクったのかもしれない