ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)作者: 古川日出男出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/05/09メディア: 文庫購入: 17人 クリック: 148回この商品を含むブログ (183件) を見る

わんこわんこ。数百匹のわんこが登場する小説。
数年前に話題になって気になっていたのが文庫落ちしたので購入。


わんこはいっぱい登場するけど、作者はきっとわんこ好きではないと思う。いっぱい死ぬし。


物語の構成も文章も独特。
三人称なのに語り手が登場人物(人じゃなくて犬だけど)に話しかけて犬がそれに答えたり、一見大真面目に語っているように見せかけてフルシチョフ書記長に頭の悪そうな独白をさせたり、結構やりたい放題。
内容も、太平洋戦争中の4頭の軍用犬がその後の世界の軍用犬のルーツになってるとかいうトンデモな話を、ノンフィクションの近代史実に織り交ぜて妙な説得力を持たせて語るので、あたかもそんな法螺話が本当なんじゃないかと誤解しそうになってしまうので始末に悪いというか何というか。


全体的にわけ分からないし、物語の落としどころもイマイチだったのだけど、後半に登場する怪犬仮面(麻薬密売組織のトップかつ人気ルチャドール。得意技はセントバーナード蹴り)の章だけすんげぇ面白かった。明らかに登場人物が生き生きしてる。ペットのわんこを殺したのがソ連軍だったからキリスト教から改宗してアフガニスタンのゲリラに付いて報復とか、思考展開がアホ過ぎる。


あと、地理とか系図がわかりにくいので、誰か進化したGoogle Maps APIを使ってわんこ達の軌跡を書いてみてほしい。


つまらなくはなかったけど、万人ウケはしないだろうし、クセのある内容だったなー。