チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)作者: 海堂尊出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/11/10メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 132回この商品を含むブログ (565件) を見るチーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)作者: 海堂尊出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/11/10メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 55回この商品を含むブログ (439件) を見る

2006年『このミス』1位。の作品が、映像化をきっかけに文庫落ち
受賞当時から悪評を殆ど聞いたことがなかったので、超期待していた作品。


で、確かに評判どおり、この作品は凄い!超面白い!


公式サイトのあらすじにあるように、

東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術である「バチスタ手術」の専門チームを作り、 次々に成功を収めていた。ところが今、三例続けて術中死が発生している。 しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。 そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、 不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。

といった感じで、まずは主人公の田口先生が突然病院長から呼び出されて、謎の術中死について調査を依頼されるところから物語が始まって、関係者に聞き込み調査を行うのだけど、その段階から容疑者含め各登場人物のキャラクタが立っていて、物語の起承転結の起と承についてはほぼ完璧。しっかり「どういう結末になるんだ!?」と思わせるツカミです。


で、更にテコ入れのように登場するもう一人の主人公・白鳥が、他の個性的な登場人物に輪をかけた個性的な変人キャラ。「白鳥が通った後はペンペン草も生えない」と作中で語られるとおり、他のキャラの印象をすべて薄くするような強烈な個性と論理展開は圧巻の一言。ミステリの探偵役は得てして変人であることが多いのだけど、白鳥は御手洗潔や榎木津探偵や伊良部先生(これは探偵じゃない)のような変人キャラの個性を足して割り算しないような超破天荒キャラ。実際に存在したらウザいことこの上ない人物なのだけど、読んでいる分には非常に痛快。


田口・白鳥コンビは所謂「ホームズ・ワトソン」な関係で、ミステリの人物構成としてはありがちだし、果たして物語の結末はミステリとしては「どうなんだろ」と思うところもあるのだけど、独特の会話や上手すぎるストーリーの構成力、インテリ同士の会話の面白さはそんな欠点を吹き飛ばす勢い。


あと、現代医学ミステリとか書かれているので堅苦しい印象があるのだけど、全然そんなことはない。
ラストだけちょっと説教くさい部分も無きにしもあらずだけど、基本はエンタテイメントです。
ここ最近で読んだミステリの中では間違いなくダントツでオススメ。