世界の終わり、あるいは始まり/歌野晶午

世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)

世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)

『葉桜の季節に君を想うということ』*1があまりにも面白かったので、続けざまに歌野昌午ゲット。


とりあえずこの小説を語るには、出版社によるアオリから。

東京近郊で連続する誘拐殺人事件。事件が起きた町内に住む富樫修は、ある疑惑に取り憑かれる。小学校6年生の息子・雄介が事件に関わりを持っているのではないかと。そのとき、父のとった行動は…。衝撃の問題作。


これだけ読むと凄い社会派の作品に見えて、実際に読んでみても、自分の息子が連続殺人事件に関与していることに気づいてしまった父親の苦しみや葛藤が見事に表現されていて、滅茶苦茶面白い!
さてさてどういうラストになるのだろうかとかなり期待していたら、途中から「え?」と思うような方向転換が始まり、「何だこりゃ!?」と思っている内にエンディング。なんと言う妄想展開!(ネタバレにつき反転)


ラストは賛否両論あるものの、途中までは『青の炎』に勝るとも劣らない名作の予感を匂わせつつも、既成概念をひっくり返すような衝撃展開にした作者に素直に拍手。『葉桜〜』とは違った意味で笑ってしまった。


名作とも迷作とも言える作品。既存の社会派小説や本格ミステリに飽き飽きしている方には是非オススメ。