チルドレン (講談社文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/05/15メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 68回この商品を含むブログ (451件) を見る

伊坂幸太郎の最新文庫。ファンサイトとかを見ても、あまりこの作品を評価している人は多くなかったのでそれほど期待していなかったのだけど、個人的には非常に楽しむことができました。


ミステリ仕立ての短編5編が収録されていて、それぞれの物語で主人公の陣内にまつわるエピソードを、陣内の友人や同僚が語るという、一風変わった短編集。
それぞれの物語は、いわゆる「トリック有り」なミステリだったり、伊坂幸太郎らしい叙述トリックだったり様々なのだけど、後者の作風の話の方が断然面白い。(逆に、前者はイマイチだったりする)


主人公の陣内は、周りの人間が語るようにおバカだし破天荒だしムチャクチャな性格なのだけど、ズバッとした物言いや、考えてないようで核心を突いた言葉が格好良くて、よく「伊坂小説は物語よりも登場人物萌え」と言われる中でも、トップクラスに良いキャラで、かなり気に入ったのであります。
『ギャング』の響野と『アヒルと鴨』の河崎を足したようなキャラなので、この二人が好きな人は絶対気に入るはず。


お気に入りは表題作の『チルドレン』と、『チルドレンII』。
前者は叙述トリックの上手くて萌え。後者についてはストーリーというか伏線の張り方はとても陳腐なのだけど、それを吹き飛ばして有り余る格好良さと暖かさがあります。最後の数ページは鳥肌モノ。


伊坂幸太郎を読んだことない人でも確実に楽しめるはずなので、是非是非オススメ。