独白するユニバーサル横メルカトル作者: 平山夢明出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/08/22メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 123回この商品を含むブログ (222件) を見る

2006年の『このミス』1位。妙に気になるタイトルと、ネットでも殆ど悪評を見かけなかったのと、田島昭宇的センスな表紙と、帯の紹介文が物凄く期待感をくすぐったので、高かったのだけど思わず購入。
で、確かに評判通り凄く面白かった!


いったん読み始めると止まらない構成力と、物語の最後にあるどんでん返し&カタルシスが非常に良い短編集。
乙一の『ZOO』とかを読んで感嘆したのであれば、絶対楽しめる一冊。…と言いつつ、グロさは黒乙一以上なので、痛い描写に耐えられない人は多分辛いです。


オススメは、異常に太った巨体*1ながらも天才的な知能指数を持つ男オメガと、その世話役との物語を描いた『Ωの聖餐』。グロいのだけど、展開からオチまで完璧な、完成された作品。
次いで表題作の『独白するユニバーサル横メルカトル』も良かった。何故か意識をもって言葉を扱えるユニバーサル横メルカトル図法*2で描かれた地図の視点から見た、異常犯罪者への思慕の話。ちょっとオチは陳腐だったけど、全体に漂う異様さが、今までに読んだことのない作風を出していてとても良かった。←この紹介文だけだと完全に意味不明だろうけど、実際にこういう話なんだから仕方ない。


ただ、今のご時世としては色々とアレなテーマを取り扱っていたりして、読む人によっては気分が悪くなるかもしれません。
いじめとか幼児虐待とか宗教とか拷問とかカニバルとか、結構刺激的な内容。


あと、『このミス』1位だけど、内容は全然ミステリじゃない。
あの賞は毎年、ミステリとは言いにくいちょっとゲテモノに1位をあげていると噂されているけど、今年もそれに違わなかったなぁ。

*1:JOJO第5部に登場したポルポ並

*2:参考: Wikipedia