ハリガネムシ (文春文庫)作者: 吉村萬壱出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/08/03メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (34件) を見る

吉村萬壱の文庫二作目。
『クチュクチュバーン』の肉体的グロテスクのレベルをそのままに、精神的グロまで一緒くたにしたグロ作品。
仕事疲れでグッタリしているときに読むのは結構堪えます…。


おそらく、誰もが持っているであろう潜在的サディズムを抑えることなく解放するきっかけを得てしまった中学教師が堕ちていく過程を書いている小説なのだけど、その構成から文章表現まで並外れて上手すぎるので、グロいのだけど思わず読んでしまいます。(で、しばらくすると気分が悪くなってくる)
手に汗握る波乱万丈な展開は無いのに、背中にじっとり汗をかくような気分になれて、なかなか鬱な読後感です。


で、同時収録されている『岬行』は、肉体的グロ描写は殆どないのだけど、精神的には相当グロい。
主人公を見て「あーこういう奴いるよなー」と思いながらも、あまりのイタさに吐き気を催して、やっぱり読んでいて鬱になります。


うーむ、面白い本ではあるのだけど、絶対に万人ウケはしないし、合計300ページにも満たない中編2編なのにムチャクチャ疲れるので、それほどオススメはできない作品。