好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/08/08メディア: 新書購入: 2人 クリック: 62回この商品を含むブログ (89件) を見る

待ちに待っていた舞城王太郎のハードカバーから新書落ち。
表題作と『ドリルホール・イン・マイ・ブレイン

表題作

ネットでの評判が賛否両論どちらもあったので少し心配していたのだけど、しっかり面白いというか、舞城王太郎はやっぱり凄いと思わせる作品。作中で語られるメタ的な要素が漏れなく盛り込まれている内容で、読み終わってから思わず最初のページから読み返したくなってしまいます。


ただ、メタな内容なだけにストレートな表現を好む人にはきっと物足りないとはと思うので、まあ世間の評判は妥当なのでしょう。
それでも『愛は祈りだ。僕は祈る。』で始まる『僕』に絡んだストーリーはそれなりにストレートに訴えるものがあるとは思うんだけどなぁ。どうしてもそういう表現では、同時期だか少し前に発売されたセカチューに引けを取ってしまってあまり評価されないのかしら?


とりあえず、ストレートじゃない舞城王太郎作品の中ではトップクラスに読み易かったです。オススメ。

ドリルホール・イン・マイ・ブレイン

好き好き大好き超愛してる』との抱き合わせでこの作品を収録した意図がわからない。かなり糞ッ垂れ小説。
これを最後まで読んで「何この作品…?」って一度も思わない人はいないと思う。なんだか語るに困る作品です。
だって「この作品は頭にドライバーをぶち込まれた少年が今わの際(かどうかは作品の内容からはわからないけど)に見た妄想です」って最初に断っておいて好き放題されたら、何も評価のしようがなくなってしまうじゃないか!


もっと『我が家のトトロ』(こっちは本当の意味で「糞ッ垂れ小説」だけど、内容はそれほど悪くない)や『熊の場所』みたいに一般ウケしてちょっとイイ話系な話の構成で本をまとめていればよかったのに。


とコキ下ろしながらも、最後まで読むことはできたから、そんなに嫌いじゃないのかも。
でも、他の舞城王太郎作品と比べたら勿論他の作品の方を断然オススメします。