町長選挙作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/04/17メディア: 単行本 クリック: 27回この商品を含むブログ (268件) を見る

伊良部先生シリーズ第三弾。
いつも通りの形式の連作短編。


もうすっかり安定モードでの続刊かと思いきや、表題作の『町長選挙』は、これまでの作品と比べてちょっと異色。
このシリーズは基本的に「主人公が自分の職業を続ける上では致命的で、しかも珍妙な精神病に罹って伊良部先生の治療を受ける」のが基本だったのだけど、この作品の主人公はただのストレス性の体調不良で、話の主軸は「離島の役人の人間関係」だったりするので、伊良部先生の役目は本当にオマケ程度でしかない。
新しい試みだと思ったのだけど、このくらいのレベルの作品なら既存のフォーマットに沿った内容の方が面白かったなぁ(前作のレビューで書いた期待*1は、あまり叶えられることがなかったので少し残念)。


他の3作品はどれも満足な内容。
登場人物の名前を見て思わず笑ってしまった。ナベツネホリエモンを出演させて、業界をぶった斬るような内容の物語を書く奥田先生は、心臓に毛が生えているというか、相当に度胸のある人だと思った。
白木カオルは黒木瞳?ああいう全年齢層の人から好印象のタレントを下品にコミカルに書くのも、わざわざ多方面にケンカを売るようなものだし。「アイドルはウ○コしない」的内容を見事に壊す内容で楽しめたけど。
残念ながらホリエモンは過去の人になってしまったので、タイムリーに読んでいたらもっと楽しめたのかと思います。さすがにモデルになる人がああなってしまうとは思わなかったんだろうなぁ。