終末のフール作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/24メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 91回この商品を含むブログ (517件) を見る

3月に発売した伊坂幸太郎の新作。
3年後に地球に小惑星がぶつかって終末が来ることが分かっている人達の、絶望とか悲哀とか厭世とか希望とかを書いた連作短編集。


これは良かった!久しぶりに伊坂幸太郎は凄いと思った作品。
「避けることの出来ない終わり」というネガティブな重いテーマを、伊坂幸太郎の得意な「はぐらかし」をしないで向かい合って、それをポジティブな方向に昇華している話が多くて、(少し悲しくなる話もあったけど)どの話もラストは清々しい気分で読むことが出来ました。


一番楽しむことができたのは『演劇のオール』という作品で、伊坂幸太郎らしさが余すことなく発揮されていて、まるで一口目から後味まで全部楽しむことができる料理を食べたような気分。この作品を読めただけでもこの本をハードカバーで買って良かったと思えます。


あとは、主人公とその奥さんの年齢や立場が近いのもあって、『太陽のシール』も良かった。
多分、結婚してそれほど時間の経ってない男の人には、とても感情移入できる話。


伊坂幸太郎の他の文庫作品は読み終わって、次に何を読もうか迷っている人がいたら、『重力ピエロ』かこの作品を強烈にプッシュします。