永遠の出口/森絵都

永遠の出口 (集英社文庫(日本))

永遠の出口 (集英社文庫(日本))

巡回している書評サイトで凄く評判が高かった森絵都の作品が文庫化されていたので購入。
主人公の小学校4年生〜高校3年生までの体験や、それに対する思いなんかを1話ずつ、全9話に収めた連作短編小説。
これは凄く良かった!早くも今年最高の小説になるのではないかと思うくらい。


描かれているのは何気ない日常の1シーンだったりすることが多いのだけど、それを「ちびまる子ちゃん」的に面白おかしく、と言っても単に「面白い」だけでなく、しっかり主人公がその1シーンを通じて成長する過程が書かれていて、各話の読後感が素晴らしい*1
残念ながら主人公は女の子なので、「私も若い頃はこういうことを思った!」とか、そういう共調はなかったのだけど、それでも心温まるエピソードが沢山あって、なかなか楽しむことができました。


あと、僕が苦手とする、女性作家特有のドロドロとした生々しさ*2は殆どなかったので、それがまた良かった。

*1:というか、問題発生→問題解決がのカタルシスがそのまま主人公の成長に繋がるので分かりやすいのだろうなぁ。

*2:吉本ばなな山本文緒あたりに特に強い気がする。