99%の誘拐/岡嶋二人

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

古い作品なのだけど、少し前にやたらと本屋でピックアップされていた本。
大学の頃の先輩にも薦められたので購入。


犯人はPC等のハイテク機器を駆使して、タイトルどおり「99%の誘拐」を敢行するのだけど、さすがに初出が古いだけあって、今読むと作風以外の目新しさはありません。
作風としては、○○な視点で誘拐事件の顛末を書くという、僕は今までにあまり読んだことのないタイプの書き方。実は誘拐モノとしてはポピュラーなのかもしれないけど、読んだことがない分予想のつけにくい展開で、ラストはどのように締めるのかが気になって、一気に読んでしまいました。文章そのものも、岡嶋二人(というか井上夢人)の他の作品と同じように、比較的読み易い文章というのもあるのだろうけど。


しかし、今頃になってピックアップされるだけあって、他の岡嶋二人井上夢人の話題作に比べると若干弱い感は否めないです。やっぱり氏の最高傑作は『クラインの壷』に他ならないので、まずはそちらをオススメします。もしくは『オルファクトグラム』あたりもオススメ。