マドンナ/奥田英朗

マドンナ (講談社文庫)

マドンナ (講談社文庫)

サラリーマンの悲哀を描いた割には妙に喜劇的な短編集。
伊良部シリーズ*1やララピポ*2のような、奥田英朗お得意の文体。


凄く面白かった!
基本的な構成としては、

  • 主人公は大企業の出世街道一直線な中間管理職
  • 昇進を前にして、それまでの会社生活を一変させるようなトラブル発生
  • 転げ落ちるようにピンチに
  • 以下ネタバレなので伏せます

なのだけど、そのバリエーションが豊富で、飽きが来ません。


きっと学生の頃に読んでも実感がなくてイマイチだったのかもしれないけど、数年間会社員を経験してから読んでみると、もしかしたら自分も20年後にはこういう課長でお父さんになっているんだろうなァ、とか読みながら想像して身につまされたりします。


勿論、喜劇的な要素もたっぷり含んでいて笑えるのだけど、色々と考えさせられる作品でもあったり、それでいて読後感は凄くスッキリできたりして、個人的にはかなり気に入った作品なのでした。