インストール/綿矢りさ

インストール (河出文庫)

インストール (河出文庫)

最年少芥川賞受賞作家の初文庫作品。
あまり「読んでみたい!」と思ったわけではないのだけど、上に書いた肩書きに興味があったし、やっぱり教養として読んでおかないと、というよくわからない強迫観念により購入。


で、名の知れた賞を受賞している作者の作品だから当然と言えば当然なのだけど、意外にも普通に面白かったのです。
読んでいて込み上げる感動があるわけでもないのだけど、読後感は凄く爽やか。起承転結が明確で、文章がしっかりしていて読みやすくて、正に「小説のお手本」とでも言える作品でした。センター試験の国語の長文読解問題とかに使われそうな文章と構成*1


あと、解説でも書かれていたのだけど、文章がしっかりしていて読みやすい、というだけでなく、とてもテンポが良くて、それが小気味良くて一気に何ページも読めてしまいます。
決して重くなく、かといってライトノベルのような軽さもなくて、なんとも不思議な文章。


ここ最近は、舞上王太郎や乙一伊坂幸太郎奥田英朗みたいな、ちょっとキワモノな小説家の方々の作品を多く読んでいたので、こういう「普通の文学」的な作品はちょっとした清涼剤な気分です。

*1:題材はとてもセンター試験では扱えなさそうだけど