死神の精度/伊坂幸太郎

死神の精度

死神の精度

伊坂幸太郎の最新作。
死神を主人公にした短編連作小説。


死神が主人公とは言え、『DEATHNOTE』みたいなサスペンスではなくて、ヒューマンドラ的マな短編ばかり。でも、単調なヒューマンドラマだけでもなくて、それを主軸としてハードボイルド風味に仕立てたり、ミステリ風味に仕立てたり、恋愛小説風だったり、旅情モノだったりして、なかなか飽きさせない造りになっています。
内容はやっぱり「いかにも伊坂幸太郎らしい」と思わせる、言葉遊びのような洒落た文章だったり、ちょっとした遊び心があったりで、ファンにはじっくり楽しめる内容。
主人公の死神も、さすが伊坂幸太郎と思わせる一風変わったキャラ設定で、凄く面白い。
音楽が好きで、ちょっと間の抜けたところがあって、凄く事務的に死神の仕事をこなしている(というか、作中では死神の仕事は本当に「会社員」のような仕事になっていてそれも笑える)ように見えるけど実は人情深いように感じたり、読めば読むほど愛着の沸く死神なのです。


でも、「物凄く面白かった!」という作品でもなく、気合を入れて最初から最後までじっくり読み込む作品でもないので、ハードカバーで買うのはちょっと勿体無いかも。
文庫になってから、暇な休日にゴロンと横になりながらダラダラ読んだりするのには最適です。