失踪日記/吾妻ひでお
- 作者: 吾妻ひでお
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: コミック
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実際に失踪しちゃった人の体験談風日記マンガ。
作風としては『しあわせのかたち』の頃の桜玉吉。というか、当時の桜玉吉の作風が吾妻ひでおっぽくしてあるというか。巻末の対談でとり・みきが吾妻ひでおマンガの特徴を端的に書いているのだけど、僕はこの本を知らなかったら絶対に桜玉吉を連想していたので、きっと似ている。
内容は、体験談としてとても面白いのだけど、ちょっとシャレになっていない箇所も結構多くあって、「本当にこれ出版して問題ないのかな」的なことを何度も思ったりしました。畑荒らし、ゴミ場荒らし、ホームレスの家から泥棒、とかなりやりたい放題。
アル中病棟の話もあって、これも凄く面白い。だけど、僕は「正しい生産・消費活動をしていない/できない人のために何故自分の払っている税金の一部が使われるのか?」と常日頃から思っている血も涙もない人間なので、反面アル中病棟の人たちの人生観なんかが作中から垣間見えたりすると腹立たしくてならなくなったりもするのです。
面白いけど、同時にイライラもしてしまって楽しみ切ることができなかった。
多分、こういうダメ人間ネタを冗談として受け取れる人が、このマンガを楽しめる層なのだろうなぁ、と思いました。
あと、体験に勝るもの無しとは正にこのことで、アル中時代の描写はコミカルながらも凄まじい。ちょっとアルコール依存気味な方は、まずこの本を読めば絶対辞めることができる。
ヘタな禁酒本よりはよっぽどキくのではないかと思います。
ただ、この本とても値段が高い。マンガでこのページ数で1,400円はいくらなんでも暴利です。