熊の場所/舞城王太郎

熊の場所 (講談社ノベルス)

熊の場所 (講談社ノベルス)

ちょっと前の日記にも書きましたが、特に他に読みたい本がなかったので、なんとなく購入したら凄かったです。


帯で「圧倒的文圧」と評されるだけあって、確かにものすごい文章量。
やたらと砕けた口語体で、ひたすら読点がなくビッシリと1ページに文字が埋まっている上に、表現がくどいという、普通だったら読みにくい事この上ない文章にも関わらず、文章としての整合はしっかり取れているので苦痛にならない。普通に句読点があって改行が入っている小説と同じようなペースでガンガン読むことができるので、割と爽快です。
頭の良い人が自分のペースで散々早口で捲くし立てるような、そんな感じの文章。


ただ、内容は割と濃いです。しかもグロ方向に。
女性向け小説に見えるカバーなので、騙されて買う人が沢山いて、その半分くらいが「もう2度と読まない」と怒りそうな内容。
ただ、テーマなんかは結構しっかりとしているので、個人的には楽しめました。
3つ目の話はかなり終わっているというか、ミステリを馬鹿にしているとしか思えない内容で、ミステリファンも敵に回しているのだろうなぁ、とか思ったりもしました。個人的には笑えたけど。こんな下らない三文ミステリは久々に読んだ。


まあ、上で2回も「個人的には」と書いているだけあって、万人に薦められる内容ではありません。
嫌いな人は絶対に腹を立てる内容なので、ファンシーな表紙に騙されないようご注意を。
個人的にはとても気に入っているので、他の作品も買ってみます。