重力ピエロ/伊坂幸太郎

重力ピエロ

重力ピエロ

これは凄い。物凄く面白かった。


Amazonのエディターレビューであらすじだけ読むと、とても重くて暗い話になりそうな雰囲気に感じるのだけど、そこはさすが伊坂幸太郎。独特の文体と会話で、暗いテーマを鼻で笑い飛ばすような痛快さが最初から最後まで貫かれています。


内容も相変わらず伊坂幸太郎なので、詳しく書くどころか筋について触れてしまうのもアレなので書きませんが、作中で主人公がジャン・リュック・ゴダールについて語ったのと同じ言い方をするなら、「恰好良くて、笑える」ストーリーなのです。でも、意味不明でも退屈でもない、一本のしっかりした映画を観ているような作品でした。
ちなみに僕はゴダールの作品を観たことはないので、「恰好良くて、笑える」のかどうか知りませんが。


あと、主人公一家がみんな魅力的で、主人公も、春も、父親も、母親も、読み終わったときにはとても愛着が沸いていて、もっとこの家族のエピソードを!と考えてしまいます。
たとえば『リトル・ダンサー』の親父さんや、『DEATHNOTE』の夜神局長なんかも個人的には最高の父親キャラだと思うのですが、この作品の父親も引けを取らない。恰好良すぎ。


各ランキングで上位にランクインしまくっているのも納得のいく、決して新書版を買って損のない傑作。オススメです。