空中ブランコ/奥田英朗

空中ブランコ

空中ブランコ

今度こそ直木賞受賞作。
1作目に引き続き、この作品もとても面白かったです。


連作短編集で、毎回のパターンは大体同じなのですが、その分1作目に比べて作者に慣れが出てきて、1作目の面白かった部分、良かった部分がそれぞれ上手い具合に強化されている内容になっています。
笑える部分は物凄くコミカルに書かれていて、電車の中で思わず笑い出しそうになったり、物語の主人公達が自分の病状に怯えるシーンは、読んでいてまるで自分が病気にかかったような焦燥感を感じます。文章でこれだけの表現力を持つのは、奥田英朗ならでは。


ただ、主人公の境遇や病状は毎回違えど、話の大筋については本当に同じパターンなので、今後シリーズが続いたとしても、恐らく4巻くらいまで読んだ時点で飽きてしまいそう。
しかもちょっと違ったテイストを入れてしまうと、良い部分まで削がれて余計にダメになってしまうかもしれないけど、奥田英朗の実力であればきっと良い方向に倒してくれると信じているので、毛色の違った話も読んでみたいと思うのです。


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