錆びる心/桐野夏生

錆びる心 (文春文庫)

錆びる心 (文春文庫)

僕は読んだことないのですが、『OUT』がたいそう評判が良いらしいので、とりあえず電車内で軽く読める短編集から、と買ってみました。
つまらなくはなくて、どれも割りとポンポン読める軽い文章なのですが、いささか題材が普通すぎて(無論どの作品も非日常なことを書いているのだけれど、小説の題材としては普通という意味)あまり印象に残る小説ではなかった気がします。一年後には読んだことすら忘れていそう。


ただ、書き方として印象的だったのは、なんというか、起承転結の「結」が弱くて、ものすごく唐突に話が終わっているといったところです。
「あれ?ここで終わりなの」という話が6作中5つあって、多分ほとんどの人が理解できない例えになってしまいますが、初めて浦安鉄筋家族を読んだときのオチのつかなさに驚いたときの感覚に似ています。


あと、最初の話を読んだ後に、なんとなくこの話を思い出しました。
事実は小説より奇なり、というか。まあネタかもしれないんですけどね。