ジェネラル・ルージュの凱旋/海堂尊

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)

田口・白鳥シリーズ第三弾が文庫落ち
すげー面白かった!これは早くも今年のベスト小説になりそうな予感。


2作目の『ナイチンゲールの沈黙』の裏で起こっていたもう一つの事件に関しての物語。
東城大学救命救急センター部長のジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)こと速水に関する伝説や事件。
ナイチンゲール〜』の後半で一部の登場人物(如月翔子や速水)が空気化してたのはこっちの事件に絡んでたからなのか。納得。


速水がカッコ良すぎて萌え(燃え)まくった。
男前で頭脳明晰で若くして医療技術も一流といういかにもマンガ的なキャラクターで、現実にこんな人間がいてたまるか!とは思うものの、その誇張っぷりがまた良かったと思うのです。
作中で語られる「ジェネラル・ルージュの伝説」のシーンとかすげー好き。
物語後半は事件に関する会議が50ページ以上延々行われていて、その丁々発止のやりとりが本当に面白かった。普通、会議のシーンなんか面白くないし地味だと思うのだけど、速水・白鳥のそのぶち壊しっぷりが爽快すぎるんだぜ。沼田先生のような「内容のスカスカなことばっかり言う理屈屋」っていうのは実在して、海堂先生はハラワタ煮えくり返ることが多いんだろうなぁ、と思った。


ということで、全体としては素晴らしい作品ではあったのだけど、後半の『カタストロフ』の章だけは若干いただけなかった。あまりにご都合主義過ぎる展開。物語をキレイに収束させるには必要だったのかもしれないけど、ちょっとやり過ぎな感はあったなぁ…。


あと、『ナイチンゲール〜』と『螺鈿迷宮』は割と情緒的な文章だったのに対して、こちらは『チーム・バチスタ』のような淡々とした文。2作目を読んで「あれ?」と思った人もしっかり楽しめると思います。