クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い/西尾維新
- 作者: 西尾維新,竹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/15
- メディア: 文庫
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西尾維新っていうと量産作家でラノベ風というあまり良い印象はなかったのだけど……予想に反して、結構悪くなかった。
ミステリとしては「おいおいそんなムチャクチャな」と思うトリックではあったものの、絶海の孤島モノとしては空間的・時間的密室による不可能犯罪有りの割と正統派な内容。最後のどんでん返しもなかなかユニーク。「タイトルがトリックの最大のヒント」(ネタバレにつき反転)というのも新しい。
まあ、ラノベ色も結構強くて、若干胃もたれ気味ではあるのだけど…。たとえば、ヒロインの一人称が「僕様ちゃん」とか最初の数ページ目くらいで見た時点で「あ、もう無理」とか思ったんだぜ。他にもロリ顔三つ子メイド(一人は眼鏡っ娘)とか、完全に作者の趣味の世界の登場人物なんだと思うんだ。
最大のテーマである「5人の天才」を、単なる天才の安売りにしなかったのは上手い。
天才がいっぱい出てくるような中坊設定の物語は、大抵後半で天才が安売りされすぎてデフレして*1凡人と天才の差が分からなくなってしまうという駄目なものが多いのだけど、この作品はちゃんと天才の方向性の違いでデフレを回避していたので安心して読めたのであります。というか、この物語の場合は「天才」でなく「異能」だと思うけど。
あとは、読んでるときに「なんか京極夏彦が上遠野浩平の文体で森博嗣のストーリーを書いてるみたい」と思っていたら、本当に作者は上記三人をリスペクトしているらしくて笑えた。あとはガンダムとかジョジョパロが多いのも個人的には好き。
*1:バキとかのデフレなんかが酷すぎるんだ