サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/08/31メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (130件) を見るサウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/08/31メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (104件) を見る

発売当初、凄く話題になっていたので楽しみにしていた小説が文庫落ち
元過激派の破天荒な父親を、マトモに育った子供の視点から描くという、これまでの奥田英朗とはちょっと毛色が違う作品。うーん、普通に面白かったのだけど、「これは凄い!」な名作にはならない感じ。


上巻と下巻の関連性が殆どなくて、物語前半部分のあんなことやこんなことが何か重要な伏線になっているかと思いきや、全然関係がないので、全体として冗長な雰囲気だったりとしてちょっと消化不良。実際、前半部分は30ページくらいにまとめてしまっても後半部分のストーリーには差し支えなかったりしそう。もちろん、それぞれのエピソードは面白いし、奥田英朗らしい疾走感もあるのだけど、完成度が高すぎる他作品と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまいます。
この作品一番の見所である「父親」の人物像は、後半まで読めば凄くカッコイイと思えるのだけど、前半の駄目っぷりが酷すぎてイマイチ挽回しきれていなかったりしたのが残念。


それでも家族の絆にグッと来たり、読み終わった後には清清しい気分になったり、全体としては悪くない出来。
映画化もされたようだけど、確かに西表島の風景なんかは映像化にもってこいだろうし*1、物語としても盛り上がりどころはあってそこそこ楽しめそうなので、DVD化されたら観てみることにします。

*1:と書いている人は西表島に行ったことないので、小説の内容から判断してるのですが。