パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/03/13メディア: 文庫購入: 18人 クリック: 237回この商品を含むブログ (215件) を見る

『手紙』も非常に良かったので、脳内で勝手に東野圭吾フェア開催中。
なかなかの佳作。


主人公はバーチャルリアリティの研究者で、あるとき不意に自分の記憶に矛盾があることに気づいて、その食い違いの謎を追う内にとんでもない事実を発見したんだ!→「な、なんだってー!」な展開。
タイトルだけ見るとラブコメっぽいけど、純粋なサスペンスです。同作者の作品で言えば『変身』や『分身』に近い感じ。起承転結すべて、これまで僕が読んできた東野作品の典型ながらも、だからこそ結構楽しむことはできます*1


残念だったのは、テーマが近い『クラインの壷』のような超絶展開を期待していたのだけど、それについては肩透かしを喰らったこと。中盤から終盤の「な、なんだってー!」がちょっと弱かった。もう少しヒネることができたら、佳作ではなくて名作になれたのではないかなぁ。残念。

*1:つまり、導入から中盤の展開、エンディングのカタルシスまで安定して面白い