山ん中の獅見朋成雄/舞城王太郎

山ん中の獅見朋成雄 (講談社ノベルス)

ハードカバーだったのが単行本になっていたので購入。

佳作。とても良いです。
僕の好きな、舞城王太郎らしい疾走感溢れる文体と馬鹿らしいムチャクチャな設定で、背中に鬣を生やした中学生・獅見朋成雄の青春やら人生観やら自分探しを書き切っています。サクサクっと最後まで一気に読めながらも、それなりにちゃんと深みがあって、それでいて後味スッキリ。
全体的な雰囲気としては『世界は密室でできている』にちょっと似ています(推理的な要素は全くないけど)。つまり、万人ウケはしないということですが。

あと、やっぱり舞城王太郎は擬音の作家だと思った。
ブルルングガーとか、しぞりりりんにとか、かなりそれっぽい感じの音です。多分本編を読まないでこんな擬音を見ても、なんのことだかサッパリわからないだろうけど。