世界は密室でできている/舞城王太郎

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

舞城王太郎作品の文庫化第二弾。
文章や話の作り方が、これまで読んだ舞城作品の中でも一番「舞城王太郎らしく」仕上がっていて、非常に楽しめます。


作品名の通り、密室やら仕掛けやら見立てやらが大量に登場して、一見すると本格ミステリ風味な内容になっているのだけど、相変わらずそれを読者に解かせる気はさらさらなくて、事件が起きた次のページではもう名探偵ルンババ12が解決編を開始してしまうというムチャクチャさがたまりません。


全体的にサワヤカな雰囲気で、裏表紙に書かれている通り「新青春エンタ」なジャンルなのですが、ところどころ舞城王太郎的超グロ描写なんかも混じっていて微妙にヒくかもしれない。ただ、ラストはすごくサワヤカで、読後感スッキリ。
ページ数が少ない上に、テンポ良く書かれていてサクッと読めるので、舞城王太郎未読の方にも最適。


個人的には『煙か土か食い物』に次ぐ傑作です。