暗闇の中で子供/舞城王太郎

暗闇の中で子供 (講談社ノベルス)

奈津川家シリーズ第二段。第一弾『煙か土か食い物』が超絶に面白かったので、この作品も当然面白いと期待して買ったのですが…。

久々に、読み終わってから本を真っ二つに引き裂いて、壁に投げつけて、散々踏み散らしたくなるような内容でした。バリッバングシャグシャ！
思うに、小説で一番大切なのは勿論全体のストーリーなのだけど、読者にその本を印象付ける要因の大きな部分に冒頭と最後の一文なのですよ。それにも関わらずこの作品のラストは物凄く酷い。唖然として、思わず笑いがこみ上げるくらい。
そういう意味では、とても珍しい類の本かと思うのですが、舞城王太郎作品のそもそもが万人ウケするものでもなく、しかもこの作品は前作と比べてテンポもダウンしているので、よっぽど好きな人以外にはオススメできません。

と思っていたのですが、mixiの舞城王太郎コミュニティを見ていたら、この作品の本当の意味(というか解釈の一意見)が書き込まれていて、それを読み取れなかった自分も情けないのだけど、もしその解釈が間違っていなければ、やっぱ舞城王太郎スゲェよー！とか思えたのでした。
その解釈が間違ってなかった場合、何がどう凄くて、どうして↑で書いたような酷評を翻すのかを書いてしまうとネタバレになってしまって書けないというお決まりのパターンで申し訳ないのですが、読者の感想を二転三転させる作家というのは、やっぱり稀有だと思います。

あと、それを加味しても、他の舞城作品の方が面白いと思う、舞城作品を最初に読む方は大人しく『熊の場所』か『煙か土か食い物』から入ることをオススメします。