グラスホッパー/伊坂幸太郎

グラスホッパー

グラスホッパー

伊坂幸太郎最新刊。
発売前にAmazonで公開されていた作者の紹介文がメチャクチャ面白そうだったので、普段ほとんど買わないハードカバーにも関わらず購入。期待を裏切らない内容でした。*1


伊坂節全開の、言葉遊びのような洒落た文章や会話が繰り広げられる群像劇。『陽気なギャングが地球を回す』や『オーデュボンの祈り』のような、相変わらず手の込んだキャラ設定と展開は、「これはこの後どうなってしまうのだろう!?」と、最初の30ページくらいから一気にのめり込ませて、最後まで飽きさせません。
まあ、洒落た文章が前面に押し出されている分、各登場人物に対して「こんな奴いないよ」という気分になるのも相変わらずですが、僕は伊坂幸太郎の小説にリアリティーを求めているワケではないので、充分にエンターテイメントとして楽しむことができました。嫌いな人はきっと物凄く毛嫌いしそうだ。


ところで、この本も、名言はされていないのだけど、『陽気なギャング〜』のような「能力者」が出てきたりします。で、殺し屋です。しかも他の伊坂作品と比べると若干シュールな内容だったり、観念的だったりします。なんだかとても上遠野浩平っぽいです。上遠野作品も、よく考えたら基本は洒落た文章の群像劇だったりするわけで、もしブギーポップやらその辺が好きな人で伊坂幸太郎が未読であれば、この作品はとても強くプッシュできます。
他の作品はあまり共通点はありませんが。

*1:ちなみに、作者の紹介文は、カスタマーレビューじゃない方のレビューにそのまま残っています