暗黒童話/乙一

暗黒童話 (集英社文庫)

暗黒童話 (集英社文庫)

乙一の初長編作品ということで話題になった本の文庫落ちですが、僕は幻冬舎で書き下ろされた長編を先に読んでしまっているので、そういう意味での新鮮さはありませんでした。


乙一は巷では「切なさの達人」などという、センスの欠片も見当たらないような二つ名を貰ってしまっていますが、今作を読む限りでは、乙一という人はとてつもなく悪趣味で、暗い人なのではないかということが全力で感じられます。設定も悪趣味ながら、悪役(?)の人の悪辣っぷりも凶悪で、電車の中で読んでいて、「あぁっ!そんなことしたら痛い!」と、キンタマがキューっと縮むような気分を何度も味わいました。
その「痛い」シーンについては、JOJOに対するリスペクトを感じます。チョ、チョコラータがいるよ!


ということで、↑の段落(かなりの限定条件)である程度の人は作品のアウトラインが分かるかとは思いますが、グロいです。
今まで文庫化されている乙一の本は、割と「切なさの達人」な乙一の作品が多かったのですが、そういう作品群を期待して読むとトラウマになります。


ただ、これを『異邦の騎士』の後に読んだのでなければ、もっと楽しめたはずなのに、奇しくも同テーマな作品を連続して読んでしまったために、『暗黒童話』は粗が目立ってしまった感が否めなかったりします。


グロ描写に耐える自信があるなら、ひとまずオススメの作品。