異邦の騎士 改訂完全版/島田荘司

異邦の騎士 改訂完全版

異邦の騎士 改訂完全版

数年前に読んで「過去読んだ小説の中でも5指に入る名作だ!」と大絶賛した覚えがありますが、未だにその牙城が崩されていないかどうか確認したかったのと、純粋に読みたいという気持ちがあったので本棚から引っ張り出そうと思ったら見つからなかったので、思わずもう一冊買ってしまいました。
多分、見つからない方の本はつくばの某所に埋もれてる違いない。


で、最初に読んだときから比べると、比較対象の小説の数が増えたので、もしかしたらベスト5からはドロップアウトしてベスト10くらいの小説になってしまうかな、と思っていたのですが、全然そんなことはなく、2読目にも関わらず初めて読んだときのような興奮と感動を味わうことができました(内容の仔細な部分をある程度忘れていたのもありますが)。


島田荘司の作品は御手洗シリーズしか読んだことがないのだけど、島田作品は基本的に「凄い」が優先して、「面白い」が二の次になってしまう、典型的な「本格ミステリ」の読後感(それでも凡百の作品と比べれば数段面白い)な印象があったりします。が、この作品は文庫版のあとがきにもあるように、前者が若干弱まった代わりに後者のウェイトが無茶苦茶に高くて、普通の文学作品のような「面白かった!」と言える読後感です。


この作品をミステリの括りとしてしまって、ミステリ嫌いの人の目に触れられなくしてしまうのは、何とも勿体無い。僕としては、この作品は伏線消化の部分以外はあまりミステリミステリしていないので、ミステリ嫌いな人も食わず嫌いせず是非一読していただきたいです。


あと、あとがきは若干のネタバレを含んでいるので、あとがきから先に読む人はこの作品に関しては我慢するのが吉です。