裏庭/梨木香歩

裏庭 (新潮文庫)

裏庭 (新潮文庫)

知らない作者だったのだけど、他人様から薦められての読書。
そもそも僕は、女性作家の書く文章には軽いアレルギーがある(山本文緒吉本ばななの書く、文章全体から発される負のオーラが肌に合わなかった)ので、買う小説は割と男性作家が中心だったりするのですが、「あまり女性作家っぽくない」ということだったので久々にチャレンジ。


読み始めの雰囲気としては、海外の児童文学ファンタジーという印象で、不思議の国のアリスネバーエンディングストーリーの世界観に近いものを感じたのですが、最後まで通して読んでから振り返ると、割と大人向けの内容だったりします。意味的にはじっくり考えながら読ませる内容なのですが、文章的にはサクサクと読めるのであまりそれを感じさせずに最後まで話を展開させているのは上手いです。
確かに話の構成や文章に、女性作家的な雰囲気はあまりありませんが、母親作家な雰囲気がプンプンしていました。全体的に視点が「娘を見守る母親」で書かれていて、そこは好みの別れるところではあるかな、と。


とりあえず、買い損はしないです。
僕の年代よりももっと上か、若干下の高校生くらいの女の人にはきっともっと楽しめるはず。